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釧路家庭裁判所北見支部 昭和55年(少)535号 決定 1981年1月19日

主文

少年を中等少年院に送致する。

理由

一  非行事実

少年は

(1)  昭和五五年一一月七日午後一〇時ころ、北見市○○××番地の×○○運輸株式会社西側駐用場に駐車中のC所有の普通乗用自動車内から、同人所有の受令機一台(時価三万円相当)を窃取し

(2)  Aと共謀のうえ、同年一二月九日午後九時ころ、同市○○××番地○○中古車卸売センター事務所において、D管理にかかる自動車のエンジンキー八六個他一点並びに同所西側駐車場に展示中の普通乗用自動車一台(以上時価合計八三万六、〇〇〇円相当)を窃取し

(3)  同年同月一四日午前二時ころ、常呂郡○○町字×区××番地の×○○株式会社中古車展示場に展示中のE管理にかかる普通乗用自動車内から、同人管理のスパイクタイヤ四本他四点(以上時価合計一八万円相当)を窃取し

(4)  同年同月一五日午後七時ころ、同市○○×番地○○木工西側駐車場に駐車中のF所有の普通乗用自動車一台(時価三〇万円相当)を窃取し

(5)  同日午後八時ころ、同市○△町×丁目××番地○○電気商会事務所において、G所有の自動車のエンジンキー一個他二点並びに同所横駐車場に駐車中の普通貨物自動車一台他二点(以上時価合計八〇万一、〇〇〇円相当)を窃取し

(6)  同日午後九時三〇分ころ、同市三輪二二番地○△株式会社駐車場において、Hの保管管理にかかる普通乗用自動車一台他防寒ジャンバーなど2点(以上時価合計六〇万九、〇〇〇円相当)を窃取し

(7)  同年同月一六日午後六時三〇分ころ、同市○町×丁目×の×○○石油○町給油所前駐車場に駐車中のI所有の普通乗用自動車他一四点(以上時価合計七一万八、〇〇〇円相当)を窃取し

(8)  同年同月一八日午後八時四五分ころ、同市○○××番地○△自動車販売株式会社北側展示上に展示中のJ管理にかかる普通乗用自動車一台(時価八〇万円相当)を窃取し

(9)  同日午後九時ころ、同市○○××番地○○機械株式会社○○支店北側駐車場に駐車中のK所有の普通乗用自動車一台他二点(以上時価合計一三一万五、〇〇〇円相当)を窃取し

たものである。

二  適条

上記一の(1)及び(3)ないし(9)につき、いずれも刑法二三五条

同(2)につき、同法二三五条、六〇条

三  処遇の理由

(1)  少年は知能は準普通域にあるが、規範を無視した自己本位の姿勢と考え方が目立つ。本件非行をはじめ、多くの問題をはらんだ自己の生活全般についても、嘘やごまかしでその場その場を切り抜けようとする傾向が強く、更にはまた、甘えと独善からくる、自己の合理化と他への責任転嫁の姿勢が顕著である。

そのため、非行体験や他からの働らきかけによつても、一向に内省が深まらないばかりか、自己のおかれている状況の客観的な認識さえままならないといつた状態である。(今回の鑑別所における生活という、少年にとつてはじめての、貴重で、かつ深刻な筈の体験でさえも、少年にさしたる変化をもたらすことはできなかったようである。)

(2)  少年の保護者である父母は、一人つ子の少年に対して甘やかし過ぎの感はあるものの、少年に対する愛情と少年の更生に対する強い意欲は充分に窺うことができる。

しかしながら、保護者は上記のような少年の問題性については殆んど正確な認識はなしておらず、ともすれば車にのめり込もうとする少年に、その都度多少のブレーキをかけるといつた程度の、まさに対症療的な指導しかなしえないでいる。

(3)  少年はこれまで道路交通法違反や窃盗といつた二回の非行歴はあるが、いずれも不処分で終了し、未だ保護処分歴を有しない。

とはいうものの上記(1)で指摘した少年の問題性は相当深刻であり、しかも保護者がその点について正確な認識さえできていない状況であることを考えると、在宅における指導は非常に困難であるといわざるをえない。

(4)  そこでこの際少年を適当な施設に収容し、相当な期間に亘つて矯正教育をなすことが必要である。

よつて少年法二四条一項三号、少年審判規則三七条一項、少年院法二条三項をそれぞれ適用して、主文のとおり決定する。

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